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川内川流域を楽しむための4つの体験をご紹介します。
お知らせ
2023年3月10日(金)、11日(土)の2日間にわたり、川内川かわまちづくりフォーラム2023のイベントの一つ、地理人・空想地図作家の今和泉隆行さんによるワークショップがSOKO KAKAKAにて開催されました。
1日目は大学生以上を対象に、テーマは「地理人・空想地図作家の今和泉隆行氏と読み解く、川内川流域のこれまでとこれからのまちづくり」。
川内川流域に暮らす人々や流域地域のまちづくりに興味関心のある約30名が参加しました。
本記事では、2日目に行われた中・高校生に向けのワークショップ「学生からはじめる空想地図づくりワークショップ」の様子をご紹介します。
さて、中・高校生たちはどのような地図を作ったのでしょうか?
川内川かわまちづくりフォーラム2023
熊本県にある白髪岳を発端に宮崎県えびの市、鹿児島県湧水町、伊佐市、さつま町、薩摩川内市を通り東シナ海へと流れていく川内川。河川があることで与えられた地形とそこに暮らす人々の様々な活動によって、それぞれのまちが形成されてきました。県・市・町といった単位ではなく、川内川流域としてエリアを見てみることで、歴史や文化、食や観光といった新たな視点で、訪れたくなったり暮らしたくなるようなきっかけを作るのが、川内川かわまちづくりフォーラム2023を主催している川内川水系かわまちづくり推進協議会かわまちづくり観光振興部会です。
※流域とは・・・1つの河川とその支流の川から雨水、湧水を集める範囲
はじめに、事務局の田尾友輔さんが生徒の皆さんに挨拶をしました。
「今回のワークショップは、川内川かわまちづくりフォーラムの中の一つのイベントになります。川内川は、元々熊本県から宮崎のえびの市、鹿児島の湧水町、伊佐市、さつま町、薩摩川内と順に流れ、九州で2番目に長い川です。私たちは、川内川流域の5つの市町村と協力してまちを盛り上げようという活動をしています。今日は地図をつくりますが、約2時間、集中して取り組んでみてください。イベントを通して、川内川流域のことに興味を持ってもらえれば嬉しいです」
続いて、同じく事務局の久保聡さんより、川内川かわまちづくりフォーラムを主催する「かわまちづくり観光振興部会」についての説明がありました。
「私たちは6年目の団体です。川内川流域の市町村と協力して、観光からまちを盛り上げようという活動をしています。その活動の中で、観光をPRするだけでなく、川内川流域の方々ともっと交流を深め繋がりたいという想いで今回のイベントを企画しました。今日の活動を通して、川内川流域のまちづくりについて皆さんにも興味をもってもらえればと思います」
いよいよ、講師の今和泉隆行さんによるワークショップが始まりました。まずは、「だれでも空想地図がつくれる空想地図キット」の使い方説明から。
「キットを細かく切ったり、貼ったり、ペンで描いたりして見てください。あまり現実的なことを考えずに自由に。地名を付けるのも面白いですよ。道が繋がらなくてもペンで繋げられるので大丈夫。どんな「まち」にどんな「人」がいるのかを想像しながらつくってみてください」
制作時間は約1時間30分。今回は、A5サイズの白紙に思い思いの地図を描きました。
道はペンで引いたり、ラインテープを使ったり。道路は細い2本線で描いたり、灰色の太い線で描いたり。線路は黒線や細い2本線、白黒まだら模様などなど。
色画用紙で好きな形の山や海など、とにかく全部自由に制作!
限られた時間で生徒の皆さんはどのような「まち」を創造したのでしょうか。
今和泉さんの説明後、生徒の皆さんの手元は勢いよく動き出しました。
早速キットの用紙を切ったり、まずは下書きをしたり、キットの説明をよく読み込んだり。
生徒の皆さんの多くは薩摩川内市在住とのことで、やはり川や海があるのでしょうか。最初から水色の用紙を手に取る生徒さんが多い様子でした。
建物パーツを切るところから始める生徒さんも。
キットには、「市街地」や「住宅地」、「農地」や「山林」、「建物パーツ」が付属し、色画用紙を自由に切って畑や川・海、公園や山、砂地などをデザインできるようになっています。
作業開始から約30分が経過すると、少しずつ白紙に配置されていきました。
何かの「顔」をつくっているのでしょうか。
しっかり湖の名前も付けられています。
中・高校生の自由な発想はとても面白いです!
作業開始から約1時間。
完成した空想地図を、今和泉さんが一つ一つ読み解き、「現地住民」の発表の時間に。
(「現地住民」=空想地図の作者)
どれも素晴らしい地図でしたが、本記事では、ピックアップした2つの空想地図をご紹介します。
☆今和泉さんの解説
「橋がいっぱいなので、橋が大好きな住民でしょうか。川内川のように強風の日は自転車で渡るときはちょっときつそう!川を境に「人出区」「桧区」の2つのまちがあるようですね。「人出区」は、駅を降りて迷いそうな道があり、その先には大きなお店や住宅街がありますね。川を挟んで左側、右側の住民の人は仲が良いのか?教えてください!」
★現地住民の説明
「「桧区」は、住宅街があり、商業施設が多いまちです。「人出区」は、工場地帯になっていて、まちで働く人と工場で働く人が利用しやすいように駅を2つにしました。上の方は、団地や公共施設、学校が多く、右上は畑や山があります。昔あった工場も少し。住みたいのは、左上か右下部分で、まちに近くて自然豊かなところに住みたいです」
☆今和泉さんの解説
「普通かつ綺麗なまちに見えますが、よく見てみると不思議です。駅から南に行くと迷いそうです。真ん中に謎の工場のようなものがあります。また、畑や集落が森で囲まれていて、平野だけど木が多いです。全体的にちょっとシャイなまちだなと感じます」
★現地住民の説明
「中心にあるのは、ドーム型の球場です。まちの住人や住人以外もみんなが球場に来やすい立地で、田んぼやまちの真ん中にしました。自然が多いまちにしたくて森を多くしました。個人的には、左側の自然が豊かなところに住みたいです」
その他、生徒の皆さんの自由な発想が表現された空想地図の発表が続きました。
以下は、写真にて紹介します。
などなど、現地住民の想像力が詰まった空想地図が完成しました。
全体的に自然豊かで住宅地からまちへアクセスしやすい地図が多く、また、自由な発想力に対しては大人たちも大変面白いと盛り上がりました。
最後はみんなで写真撮影!
はじめは少し緊張していた様子の生徒の皆さんでしたが、最後はこんなに素敵な笑顔を見せてくれました。
理想のまちを思い描いてみて、どのような感想を持ったのでしょうか。
学校法人川島学園れいめい中学校・高等学校の2名の生徒さんにインタビューしました。
1人目は、れいめい中学校3年生の久保真奈美さん。
――今回はどのようなまちを描きましたか?
山にも海にも行きやすい大きな町にしました。川内川のように、川のあるまちをつくりました。
――空想地図づくりで楽しかった点は?
つくっているうちに、ここに家や駅があったら良さそうなど考えるのが楽しかったです。
続いては、れいめい高等学校2年生の宮田千春さん。
――参加してみていかがでしたか?
とっても楽しかったです。海の中に駅をつくったり、自分のオリジナルのまちを考えたりするのが楽しかったです。
――こだわった点はありますか?
私は、「田舎」をテーマにしました。人も多いのも良いけど、田舎らしい風景が地図好きなので、山、海、川、畑のあるまちを描きました。
――川内川流域、どのようなまちになってほしいですか?
自然を放置するのではなく、保護しながら活用して、まちが活性化すれば良いなと思います。大人になったらイベントを企画してみたいです!
久保さん、宮田さん、インタビューのご協力ありがとうございました!
最後に、今和泉さんに今回のワークショップの感想をお聞きしました。
「これだけたくさんの人にご参加いただけたことに驚きました。皆さん慎重かつ丁寧に作業されている様子が印象的でした。カタチから入って創造を膨らましたり、車を使わない年代なので、移動が歩きや自転車だったり、大人とは違う視点でした。1日目の大人向けのワークショップでは、人と集まる熱や楽しさを味わう土台があった上で、子どもの頃の忘れかけていた好奇心や衝動を思い出したなどの感想もあり、それが直に伝わってきました。
その人自身の無意識の中にある原体験や理想などが地図に表現されるので面白いです。薩摩川内市は住数年前に初めて来てから何回か来ていますが、緩やかに発展しているように思えます。また機会があれば訪れたいです」
以上、地理人・空想地図作家の今和泉隆行さんによるワークショップ開催レポートでした!
ここまでご拝読いただきいかがでしたか?
読者の皆さんもぜひ、理想のまちを空想地に思い描いてみてくださいね。
【取材後記】
今回2日間にわたりSOKO KAKAKAで開催されたワークショップには、総勢約40名の方々が参加しました。
大人も中・高校生の皆さんも、自由な発想力で空想地図を描かれました。他の人に見てもらう、今和泉さんに解説してもらうことでより一層、空想地図の世界観が具体的に表現され、会場は盛り上がりました。
そんな楽しい体験や本記事をきっかけに、川内川流域の川のまちづくりにも興味を持っていただければと思います。
川内川流域でどのようなまちづくりができるか、読者の皆さんも「空想まちづくり」をぜひお聞かせください。
それでは。
(2023年2月11日取材/早水奈緒)