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川内川流域を楽しむための4つの体験をご紹介します。
お知らせ
九州第2位の規模を誇る一級河川の川内川。
延長137kmにも渡るその広大な流域は、5つの市町にまたがり、豊かな恵みをもたらしてくれます。
その流域の町のひとつさつま町では、2024年に初めてアーティスト・イン・レジデンスをプログラムとした紫尾アートプロジェクトが立ち上がり、2025年3月末まで成果発表展が開催されています。
今回は、川内川流域の取組みのご案内と合わせて、流域の”ひと”にフォーカスし、プロジェクトへの想いをお聞きしました。
「アートによってこの町に新たな景色を生み出したい。」
そう語るのは紫尾アートプロジェクトの実行委員長を務める、とまと農家の市囿庄一さんです。
紫尾神社とその周囲の自然環境に特別な豊かさを感じていた一方で、参拝する、隣の紫尾温泉に浸かる、帰る、という滞在の短さに対して、もっとこの風情を活かせる”なにか”があるはずだと思っていたそう。
その答えに至ったのは、昔に観たあるテレビ番組だそうで…。
そのような景色を生み出す作品が紫尾神社にもあったらいいな、と思うようになったという市囿さん。
その想いに共感する仲間が集まり、紫尾地区の役員の方々に賛同いただけたことで、紫尾アートプロジェクトを立ち上げることになりました。
地域の魅力や価値を再発見・再定義する取組みとして始まった紫尾アートプロジェクトの一番の特徴はアーティスト・イン・レジデンスをプログラムとして実施すること。
ただし、アートの専門的知識やアーティスト・イン・レジデンスに知見があるメンバーがいないことが一番の心配事。そのため、まず最初は、相談できるパートナーを探すことから始まりました。
辿り着いたのは、日本全国のアーティスト・イン・レジデンス総合サイト「AIR_J」と、その運営を行っている京都芸術センターです。そこでの相談を経て、BEPPU PROJECT ディレクター家入健生氏をご紹介いただくに至りました。
地元の有志として、市囿庄一さんの想いに集い、副実行委員長として、かわまちづくりでも過去にインタビューをさせていただいた堀之内酒店 店主 堀之内力三さんと事務局に紫尾地区の住民である舟倉直人さん、地域おこし協力隊に加え、専門家としてゲスト審査員・アドバイザーとして家入健生さんが加わり、招聘アーティストの公募へ向けた準備が本格的に始まりました。
招聘アーティストの公募では9組の方からの応募があり、選考の結果、招聘アーティストに決まったのは広島市在住の川島桃香さん。2024年10月1日から約70日間に渡り紫尾地区で暮らしながら、紫尾地区の調査を通じた制作を行い、同年12月22日からその成果を展覧会として発表し、初日は家入さんをお迎えしたアーティストトークと展示会場での作品紹介を開催しました。
音声日記という手法で、録音とドローイングによる滞在の日々をつづった作品は、紫尾神社の境内の一角に佇み、木々のざわめきの中で鑑賞者の訪れを待っているかのようです。
初めてづくしのプロジェクトは、けっして平坦な道のりだけではなかったと思いますが、その感想について伺うと、
「この試みに、共に行動してくれた舟倉直人さん、堀之内力三さんなどご協力いただいた地域のみなさまに感謝します。
特に紫尾区の方には、新たな試みを快く受け入れて頂き厚く御礼申し上げます。
いつかは地元でやってみたいと思っていた一つのことが実現し感激しています。」
と謙虚に語る姿には、これまで温めてきた想いの深さを垣間見たようでした。
紫尾アートプロジェクト2024の成果発表展は3月末日まで紫尾神社境内でご覧いただけます。
ぜひ、川内川流域の町の新たなプロジェクトの息吹を感じにお立ち寄りください。
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紫尾アートプロジェクト2024
川島桃香 アーティスト・イン・レジデンス成果発表展
今この瞬間に私が、他でもない私が、ただ
生きていることの弁証を、君は何ひとつしてくれないけれど、
君が生きてきたことの証明を、私たちは今ここで再生することができる
会 期 2024年12月22日(日)~2025年3月31日(月)
会 場 紫尾神社境内
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紫尾アートプロジェクト
URL:https://salmon424301.studio.site/
取材・執筆:青嵜直樹(さつま町地域おこし協力隊)