体験で探す
川内川流域を楽しむための4つの体験をご紹介します。
お知らせ
2024年9月22日、宮崎県えびの市で「ミズベリング in えびの」が開催されました!当初は川内川でのアウトドアイベントが予定されていましたが、雨のため急遽、真幸コミュニティセンターでの開催に。会場には地元の高校生や大学生、えびの市カヌー協会のメンバー、地元の事業者、移住者など、30名ほどが集まり、活発なディスカッションが繰り広げられました。
今回のゲスト講師は、ミズベリングディレクターの真田武幸さん。真田さんが最初に紹介してくれたのは、世界各地や日本各地での川の活用事例でした。まず驚いたのは、パリのセーヌ川。この有名な川沿いでは、カフェやイベントが日常的に行われていて、川が単なる水の流れる場所じゃなく、人々の生活の一部として愛されているといいます。そのセーヌ川はパリオリンピックにおいてオリンピック史上初めて、河川を使った開会式会場として利用されたそうです。人々の生活に欠かせないものにこそスポットを当てていきたいという意図があったのかもしれません。
さらに、埼玉や愛知、大阪、新潟など日本国内でもさまざまな場所で川を活かした地域活性化が進んでいることにも話が広がりました。例えば、愛知県の乙川では大規模な花火大会を行ったり、新潟県の信濃川ではミズベリング信濃川やすらぎ堤を開催し、日本一の大河を利用した開放感あふれるキャプサイトを提供したり、大阪では水都大阪と銘打って数多くの団体が河川利用に取り組んでいるのだとか。
次に真田さんが紹介してくれたのが「ほこみちプロジェクト」。このプロジェクトは、道路を車中心から歩行者優先にするという取り組みで、福井や大阪で成功している例があるそうです。これによって街中に広場が生まれ、人々がリラックスできたり足を止めて憩うスペースが増えているとのこと。福井の「ふくみち」や、大阪の御堂筋では、官民共同で歩道が整備され、みんなが自由に楽しめる空間が広がっているそうです。
さらに、「ストリートパーク」というユニークなアイデアも聞かせてくれました。そのうちの一つでパリのシャンゼリゼ通りで行われたイベントでは通り全体がピクニック会場になってしまうそうです。企業スポンサーが入って、ピクニックイベントが開催され、街がにぎわいであふれていたとか。広告展開もできるので、地域活性化と同時に、企業側にとってもメリットがあるという、まさに「ウィンウィン」のアイデアです。
続いて、「都市寄生デザイン」という少し聞き慣れない言葉が登場。これは、都市にあるものをうまく活用し少しの工夫でにぎわいを生むデザインのこと。例えば、街灯にテーブルをつけて、ちょっと軽食を楽しめるスペースにするなんてアイデアもあるそうです。会場からは、京町温泉駅から川内川の河川敷までの道のりにある街灯やその他建造物の本来の目的とは違う工夫を凝らすことで「食べ飲み歩きロード」にしたりなど、ワクワクする提案がたくさん出てきました。
講演が終わった後は、会食を挟んだのち「KRAP(Kyomachi River Active Park)」代表の豊田さん、「SOKO KAKAKA」の田尾さん、「ライトえびの」の吉村さん、そして真田さんによるクロストークセッションが行われました。
豊田さんは、KRAP発足の経緯や、川内川の再活用にかける思いを熱く語っていただきました。子どものころはもっと川で遊ぶ姿が多かったのに、今ではその姿が少なくなってしまったことが寂しいと感じられていたそう。その思いを当時の国交省担当者の方にお話ししたところ、一度思い描いているイメージを絵にしてみてはどうかと助言してもらったそうです。その言葉をきっかけに、川内川を中心とした京町の地図の絵を描いてみたところ、町の特徴が見えてきたのだとか。それは小さい町ながら、都市機能が整っていること。飲食店をはじめ、家具店、個人スーパー、靴屋、米穀店、写真館、自動車整備工場、自転車店、温泉旅館などがあるといいます。なんとスナックは20店ほどもあるそう・・・。このようなバリエーションがある京町を改めて見たときに、豊田さんはちょっとした発想の転換でかわまちづくりに発展できるのでは?とひらめいたそうです。それは、京町の商店のみなさまにキャンプ用品を陳列していただくこと。靴屋さんにはウォーターシューズ、家具店には・・・など。川内川で遊ぶ際に必要なものがあれば京町で購入する流れができるのではないか。こうした動線を作ることで、川内川を中心とした経済ができること。京町にも還元ができるということを考えられています。以前は繁華街で商店が道沿いに並んでいた京町。その頃のにぎわいを再度取り戻せるように、子どもたちが河川敷で遊ぶ光景がみれるように日々取り組まれています。
吉村さんは、自身が暮らしている小林市には大きな川がないため、川内川の存在をとても羨ましいと感じているとのこと。特に川内川は夕日が美しいので、それを活かしたキャンプサイトができたらいいのでは?という提案もありました。川内川の魅力を、どうやってもっと引き出していけるか、具体的なアイデアを次々とご提案頂きました。
このイベントには地元の高校生も参加していて、彼らの意見もとても印象的でした。ある高校生は、県外からえびの市に来て学んでいるが、地域の大人たちがこんなに真剣にまちおこしに取り組んでいる姿を見て、自分ももっと地域に貢献したいという思いを持ったそうです。また、都市部では見られないこうした活動に感動したという声も上がりました。
雨でアウトドアイベントが中止になったのは残念でしたが、結果的には真幸コミュニティセンターで行われたトークイベントがとても充実した内容になりました。川内川をどう活かすかについて、世代を超えた意見交換が行われ、参加者たちからは、「自分たちでこの街を盛り上げていこう」という言葉が出てきました。
誰もが自由に意見を出せる場であり、批判するのではなく、お互いに応援し合い、次のステップに進むエネルギーが生まれたことがこのイベントの一番の成果だったと思います。川内川・京町・えびの市の未来に向けてこれからどんな形で街が変わっていくのか、とても楽しみです!
取材・執筆・撮影:武井恒介(えびの市地域おこし協力隊)