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かわるひと/#02 堀之内力三さん(さつま町・堀之内酒店 店主)

川内川流域は熊本県を源流に宮崎県えびの市、鹿児島県湧水町、伊佐市、さつま町、薩摩川内市を流れており、そこにはそれぞれの地域の魅力を彩る事業者の皆さんがいらっしゃいます。『かわるひと〜川内川流域で豊かに暮らす人に会うメディア〜』はそんな皆さんにフォーカスを当て、川内川流域の魅力を県内外の方に感じてもらうきっかけにしたい。そんな企画になります。

第2回目はさつま町の『堀之内酒店』店主の堀之内力三さんにお話を伺いました。

「自分の足元を見つめ直す」

堀之内さん:
18年前に父からお店を引き継いで、さつま町で堀之内酒店という酒屋を営んでいます。元々祖父の代では製糸業をしていたのですけど、父がお店を引継ぎ、さらにその後、父が他界したことで自分が店を継ぐことになりました。

最初は酒屋というよりも日用品全般を取り扱うお店だったので、今でこそお酒がメインですが、その当時は、お酒よりもシャンプーや洗剤、トイレットペーパーに針や糸等、もうなんでも置いてあるお店だったんです。

それで、さつま町には蔵元さんが3軒あることと、お店を引き継いだ当時は焼酎ブームだったこともあったので、お酒の専門店にしていきたいなと思って少しずつ取り扱いさせていただけるようになって今の状態があります。

ただ、最初はUターンで戻ってきた僕にお酒を卸すような酒蔵さんはほとんどいなかったんですよ。そんな中、近所に蔵を構えている小牧醸造さんが、お幼馴染みということもあって焼酎を勉強させていただいて色々と後押しをしてくださったんです。

だから、今の酒屋としての1歩を踏み出したのは、そこがきっかけかもしれないですね。

堀之内酒店 店主 堀之内力三さん

それと時期を同じくして、ある酒販店さんへ教えを乞いに行ったのですが「あなたの地元には雄大な川内川があって、山の幸も豊かで良いものが沢山あるのだから、それを君らしく結びつけることが大事。それは君にしかできないのだよ」と言われたことがとても大きいですね。

売れるものに飛びつくのではなくて、ちゃんと自分の足元としての地元を見つめ直しなさいと言われたようで。

ただ、そのときはまだ地元を見なさいと言われても地元に対して知識もないし繋がりもない。人気のあるお酒を売りたいと思っているのにと、そんな気持ちでいたのも事実ですね。

でも、配達で地元の飲食店さんを回っていくと、色々な方が亡くなった父に対して世話になったから君は変わらないでねとか、お父さんは本当にすごい人だったんだよ、とか言ってくださるんです。

自分はお店を引き継いだときに、父は何も残さなかったぐらいに思っていたのですけど、この地域の方々からの信頼こそが父が遺してくれたものだったのだなと実感したんです。

堀之内酒店
焼酎や日本酒、ワイン等さまざまなこだわりのお酒が並ぶ店内

「人との繋がりを実感する距離感」

見つめ直すというか地元に改めて目を向けると、そういった信頼関係っていう人との繋がりの上に日々の営みがあることが実感できる場面が多いですね。

そういう意味で、この町の良さは規模感にあると思っています。地域の事業者さん同士もですし行政とも近い関係にあるので、何かやりたいと思ったらすぐできやすいのかなって思います。

ただ、地元の一体感があるがゆえに、町外の方は入りにくい印象を持たれている部分もあるようですね。とくに町外の方を受け入れていない訳ではないのですが、一体感が強いことでそう見えてしまうことがあるのかもしれません。

ですから、一体感という熱量は維持しつつも、より町内外の風通しが良くなると良いですね。ちょうど昨年、地域おこし協力隊の方が東京からさつま町に移住されたのですが、そういった町内外を結ぶハブ的な方も増えているのは地元にとって良い影響になっていると思います。

さつま町の様々な業種の事業者が集まり立ち上がった地域ブランド『薩摩のさつま』も並ぶ。

「昔は流通のハブ的な地域だった」

町内外のハブという意味では、昔のさつま町は物流の中継地点だったようですよ。河川を利用した運搬が盛んだった時代は、例えば伊佐市のお米を川内川を利用して船で運んでいたらしいのですが、さつま町はそのルートの中で難所だったようです。

それもあってか明確には分かりませんが、伊佐市からさつま町まで船で運んで、(継続して川を下った可能性もありますが)さつま町から陸路で運ばれたような話も聞きます。だから、さつま町の中でも物流の中継地点にあたる場所は、温泉があったこともあって昔は宿場町として栄えたそうで物資や人が行き交う場所だったようですね。

「気が付けばそこに川があった」

それから時代が変わり現代に近づくにつれて、子どもたちの遊び場の他に学校の水泳の授業でも川が活かされるようになったんです。川が身近にあったからか、さつま町は水泳の町って言われるほど強かったんですよ。

他にも昔はカヌー大会とかもさつま町でありましたし、川が今以上に近い存在だったのかもしれません。もしかしたら、イベントという大がかりなことをしなくても、少し川辺で過ごす時間があることで今以上に見えてくることがあるのかもしれませんね。

【お店情報】
店名:堀之内酒店
住所:鹿児島県薩摩郡さつま町宮之城屋地2775-4
URL:https://shochu-tairiku.com/

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