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川内川流域を楽しむための4つの体験をご紹介します。
お知らせ
川内川流域は熊本県を源流に宮崎県えびの市、鹿児島県湧水町、伊佐市、さつま町、薩摩川内市を流れており、そこにはそれぞれの地域の魅力を彩る事業者の皆さんがいらっしゃいます。『かわるひと〜川内川流域で豊かに暮らす人に会うメディア〜』はそんな皆さんにフォーカスを当て、川内川流域の魅力を県内外の方に感じてもらうきっかけにしたい。そんな企画になります。
第12回目は鹿児島県伊佐市の作業療法士の前畑竜郎さんに、2025年10月に開催された「伊佐カヌー・SUP体験会〜川内川で秋の水上を楽しもう〜」(伊佐市カヌー・SUP体験会実行委員会 主催)についてお話を伺いました。
前畑さん:私は伊佐で作業療法士として従事しながら、プライベートで子どもたち向けの体験活動や石窯制作などを行ってきました。そのような生き方をするようになったのは「ひしかりガラッパ王国」を運営する中村周二さんとの出会いでした。彼の活動を手伝う中で、大人と子どもが一緒にワイワイやっている光景が面白いと感じ、それがきっかけで伊佐でのいろんな活動をするようになったんです。

前畑さん:今回、10月12日に私が所属する「一般社団法人鹿児島県作業療法士協会」が主催する講演会を伊佐で開催するにあたり、パラカヌーの選手とコーチをゲストに招きました。彼らの今までの背景をお聴きし、実際にパラカヌーをしている様子を映像で参加者に観ていただいてから、翌日13日に川内川でカヌーとSUPを体験しようという流れにしました。



前畑さん:ゲストの選手は頸椎損傷や脊髄損傷が原因で身体に障がいを抱えています。でも、そんな彼らがカヌーを漕ぎ、自分一人の力で陸へ乗り降りしている様子を見ると、しっかりと自分自身と向き合っていると感じました。障がいがある=できることに限界がある、という先入観がある人も多いと思います。でも、そうじゃなくて、自分の体を知り、その上でいかにパフォーマンスを最大限に発揮できるようにするか意識することが大事なんだと気づかされました。川=遊ぶ、だけでなく、学びにもつながり、私たちにとっても参加者にとっても視点を広げる時間となりました。

前畑さん:今回の体験会で気持ちがいいなと感じたのはカヌーを漕ぎながらBGMが流れてきた瞬間でした。実は、ちょっと離れた場所にスピーカーを設置していたんです。何も雑音もない静かな川内川だからこそ、BGMが際立ったと感じましたし、将来的には陸で音楽ライブを、川で水上スポーツを、というカタチにして陸と川を同時の楽しめる空間づくりをやってみたいと思いました。「伊佐にはこんなに居心地いい場所がある」「想いをもって活動している人がいる」ということを地元の人にも知ってもらえる今回のような機会を今後もつくっていきたいです。




前畑さん:私は伊佐という手の届く世界を最大限知り、その魅力を最大限引き出すことができたらという想いで活動しています。実際、伊佐でお世話になった先輩たちがそのようなスタンスで活動している背中を見てきたからこそ、身近な何気ないものが愛おしく感じるようになりました。ただ、何をするにも一人ではできません。一人ひとりが自分のできることで役割を担っているからカタチになるんです。私自身、子育てを終え、ライフステージが変わってきたことで新しい夢が生まれました。それは「故郷を大事にしながら、家族の居場所をつくる」ことです。その手段の一つが川内川での活動だと思っています。その夢を実現するために、ブレない軸を持ち、手の届く世界をしっかり時間をかけて仲間たちと丁寧に磨き上げていきたいです。
取材・執筆:上 泰寿(ケアの編集者)
【イベント情報】
イベント名:伊佐カヌー・SUP体験会〜川内川で秋の水上を楽しもう〜
関連URL:https://kawamachi.jp/2629